ゴスペルオペラ
トゥリーモニシャ
2011/3/20 開場 16:30 開演 17:00
2011/3/21 開場 14:30 開演 15:00
編曲 港大尋
演奏 ソシエテ・コントル・レタ
出演 倉地恵子(亀渕友香降板による代役) 佐山花織 稲葉良子
木村'HIRO'洋幸 開発彩子 横山央 吉澤康太(VOJA)
VOJA トゥリーモニシャ・クワイア
スコット・ジョプリン・幻のオペラ
アメリカ音楽のパイオニアのひとりであるスコット・ジョプリンは、映画『スティング』のテーマ曲として使用され有名な ≪エンターテイナー≫ など、ラグタイム音楽がよく知られていますが、実はオペラを2つ作曲しています。それらのうち、楽譜が唯一残っている作品が『トゥリーモニシャ』(1910年)です。ジョプリン以後、同様に黒人社会を描いた『ポーギーとベス』(ガーシュイン作曲)など、ジャズとクラシックの語法を巧みに用いた作品が登場したこともあり、『トゥリーモニシャ』は長い間、忘れられたオペラとなっていました。しかし、ジョプリンらしいラグタイムを想起させる軽快なナンバーはとても魅力的であり、充分上演する価値のある作品です。1972年に完全全曲演が行われてからは、アメリカでは度々演奏されています。1976年のワシントンでの上演ではピューリッツァー賞を受賞しており、また近年では2010年にパリのシャンゼリゼ劇場で上演されるなど再評価の著しい品です。
左/トゥリーモニシャの初版譜表紙(1911)
右/スコット・ジョプリン(1868-1917)
ビッグママ=亀渕友香も出演の豪華キャスト陣!
主役のトゥリーモニシャを演じるのは、鈴木忠志演出『シラノ・ド・ベルジュラック』にてオーディションを経て抜擢された経歴を持つ佐山花織。そして日本を代表するゴスペルシンガーで、ミュージカル女優としても数多くの舞台を踏む"ビッグママ"こと亀渕友香が晩年のトゥリーモニシャを演じます。また、オンシアター自由劇場や劇団黒テントで活躍してきた稲葉良子、日本のゴスペル界を代表する男性シンガーの木村'HIRO'洋幸をはじめ、亀渕友香が率いるゴスペルクワイア"VOJA"のシンガーたちが脇を固めます。大岡淳×港大尋×ジョプリン=ゴスペルオペラ!
演出は『大人と子供のためのハムレットマシーン』(SPAC 2009、ハイナー・ミュラー作)や『世界は踊る~小さな経済の物語』(SPAC 2010、パスカル・ランベールとの共同演出)など、斬新で意欲的な作品を発表し続ける社会派エンターティナー・大岡淳、そして音楽監督は、詩人やダンサーとのコラボレーションの他「サディスティック・ミカ・バンド」にゲスト参加するなど、越境する音楽を奏で続ける港大尋が担当し、港自身が率いるバンド「ソシエテ・コントル・レタ」がステージを強力にバックアップします。 今回の上演では、スコット・ジョプリンの手からなるグランドオペラ風の楽譜と台本を大胆にアレンジし、ポップでソウルフルな"ゴスペルオペラ"として再創造します。大岡×港が、ジョプリンの魅惑的なスコアを、ミュージカルでもオペラでもない新しい舞台として甦らさせます!トゥリーモニシャ 佐山花織
モニシャ 稲葉良子
ネッド 木村'HIRO'洋幸
晩年のトゥリーモニシャ/牧師 倉地恵子(亀渕友香降板による代役)
ルーシー 開発彩子
レムス 横山央
ゾデトリック 吉澤康太(VOJA)
サイモン/ルドゥド/シーファス VOJA
村人たち トゥリーモニシャ・クワイア
出演者降板のお知らせ
代役は、亀渕友香さんの信頼の厚い倉地恵子さんが務めます。倉地恵子さんは、シンガーとしてVOJAの中心であるばかりでなく、ライブ、テレビ出演、編曲、歌唱指導など多岐に活躍しておられます。
何卒どうかご理解くださいますようお願い申し上げます。
袋井市文化協会グループ/仲畑 晃成
月見の里学遊館芸術監督/大岡 淳
代役/倉地恵子(くらちけいこ)
88年にジャズシンガーとしてプロデビュー以来、ジャズを始め様々なジャンルでのライブ/セッション活動の他、ゴスペルグループ「亀渕友香&VOJA」 の中心メンバーとしてコンサート、アルバム発表、TV出演などで活躍中。
作曲/台本原作 スコット・ジョプリン
演出 大岡淳
音楽監督/編曲 港大尋
演奏 シエテ・コントル・レタ
衣装 倉田布美江
振付 村松知代子
美術 布施祐一郎(劇団からっかぜ)
照明 唐津匠(絡操機械's)
音響 日本シアタサービス
舞台監督 鈴木睦美(日本シアタサービス)
上演台本 港大尋/大岡淳
台本翻訳 小路山順史
合唱指導 毛利優子
合唱演技指導 池上慎一郎
協力 株式会社タートル・ミュージック・プラント
助成 芸術文化振興基金/財団法人地域創造
協賛 セキスイハイム東海
後援 静岡新聞社・静岡放送/中日新聞東海本社
企画・制作 月見の里学遊館
演出家 大岡淳に聞く

ーーほとんど忘れかけられていた『トゥリーモニシャ』という作品のどこに大岡さんは魅かれ、そしてどのような演出動機をお持ちになったのでしょうか?
アメリカに生きる黒人の少女が、迷信に支配された世界観を打ち破り、近代的な理性によってたくましく生きてゆく物語。それが『トゥリーモニシャ』です。近代的な理性とは何か。それは、簡単に言えば、自分で自分の人生を切り開いていく力、を指します。誰しも、他人に流されて生きていけるならその方がラクでしょうが、いつの間にか、日本はアメリカ型の競争社会に変貌してしまいました。もはや安全確実な生き方など見つからず、書店には怪しげな人生指南が溢れています。そんな時代だからこそ、『トゥリーモニシャ』のタフネスに学んでいただきたいと思います。
『トゥリーモニシャ』は、ラグタイムの創始者として知られる、黒人作曲家スコット・ジョプリンが残したオペラ作品です。クラシック音楽の作曲法に従っているという点で、まだ彼のオリジナリティは萌芽にとどまっています。今回はそのジョプリンの作曲を、音楽監督の港大尋さんに、あえてソウルフルにアレンジしてもらいます。黒人音楽(=ゴスペル)と西洋音楽(=オペラ)の接点を、私たち日本人の音楽性を土台として浮き彫りにする、多文化の融合体。それがゴスペルオペラです。グローバル化の時代に相応しい試みではないでしょうか。
ーーキャストの核となる亀渕友香さんとVOJAのパフォーマンス、そしてゴスペルという音楽の魅力ってどんなところにあるとお考えですか?そもそもゴスペルとは、アメリカの黒人たちが、プロテスタントの教会で、神に感謝を捧げるために歌う歌です。その音楽性の豊かさが共感を呼び、大多数がキリスト教を信仰していない日本人にも愛好されてきました。亀渕友香さん&VOJAのライブでは、歌声を通して客席もステージもひとつになる、愉快でもあれば感動的でもある体験が得られます。歌は、崇高な精神性によって人々を導き、コミュニティを結束させるものなのだ――そんなことを、いつも彼らの歌声から教えられます。今回の舞台は、彼らとの共同作業が大きなウェイトを占めることになります。
ーーこの作品を通して大岡さんが発信したいメッセージは何ですか?『トゥリーモニシャ』が訴えているのは、自分で自分の人生を切り開いていくことの大切さ。一方、ゴスペルソングが教えてくれるのは、他人とつながることの素晴らしさ。このふたつがふたつとも、今の日本社会に必要なことだと思います。都会では、皆バラバラに生きている代わりに、困っている人を見ても誰も手を差し伸べない。地方では、人と人との距離が近い代わりに、突出した人間の足を引っ張るような風潮が未だに根強い。どちらも一長一短だと思います。本当は、安易に他人に甘えない自立した人間同士だからこそ、しっかり助け合うこともできるのではないでしょうか。自助努力と相互扶助の両立という古くて新しい課題を、この芝居を通して伝えたいと思っています。

